【特別連載】杉田敦 ナノソート2021 #02「ドクメンタを巡るホドロジー(後)」
杉田敦の連載「ナノソート2021」第2回後編では、ドクメンタ15を巡る問題とその後の世界情勢の変化について考察している。2023年10月に始まったイスラエル・ガザ戦争の影響で、筆者はこれまでの考察を凍結し、再検証を迫られた。ドクメンタ15では、反ユダヤ的表象の検知失敗や、極端な民族主義思想を持つ団体の参加が問題視され、ディレクションを担当したインドネシアのコレクティヴ、ルアンルパの資質が問われた。また、国立西洋美術館では、出展作家らが川崎重工のイスラエル企業との協力関係に抗議する行動を起こした。
この記事は、国際展が政治的問題に言及する姿勢の重要性と、その困難さを浮き彫りにしている。筆者は、ドクメンタのような国際展が今後も中心的な役割を担うという希望的観測を抱いていたが、ガザ戦争や抗議行動などの現実によって、その信頼は揺らいでいる。ホドロジー(路の研究)の視点から、誤った選択や遅れた対応を隠さずに示すことの重要性を強調し、美術批評家としての責任と反省を述べている。